最近では「熱中症」という呼び名が一般的となりましたが、
昔は良く似た症状を起こす病気の名前は「日射病」というのが一般的でしたし、
熱中症のちょっと前には「熱射病」という言葉でも呼ばれていました。
いずれも似たようなニュアンスですが、どこがどう違うのでしょうか?
この章では「熱中症」「日射病」「熱射病」の違いとその対策について
考えていきたいと思います。
まず、この三者の違いですが、大雑把な表現でいうと「熱中症」は総称、
「日射病」や「熱射病」は特定の症状ということになります。
つまり日射病と熱射病は熱中症の一つという考え方ですね。
少し専門的に分類すれば、熱中症と熱射病は屋内外に関わらずかかる
熱による身体の適応障害、日射病は主に屋外でかかる極度の脱水症状と
それに伴う適応障害ということになります。
したがって、屋外では日射病、屋内では熱射病と使い分ける医師もいます。
しかしこれは厳密に言えば日射病には「脱水症状」が含まれていますが、
熱射病や熱中症では脱水症状を伴わなくても体内に熱がこもることによって
自律神経が異常を引き起こします。
そして日射病は適応障害を引き起こしている症状ですから、
屋外でも熱射病が使われる場合もありますので
屋外=日射病、屋内=熱射病は正確な表現ではないということになりますね。
ただ、日射病も熱射病も熱中症に含まれるので、
医学的にも熱中症で呼び方を統一しているのが最近の傾向ということになります。
次にそれぞれの予防対策ですが、これは日射病も熱射病も熱中症の一種であるため、
基本的には同じということになります。
具体的には脱水と熱こもりを防ぐためにこまめな水分補給を行なう事と、
炎天下では長時間の屋外作業をやめ、
室温は28℃以下にしておくというのが主な予防対策となります。
節電が叫ばれている昨今ですが、
エアコンには室温を下げる以外にも熱中症を防ぐ効果があるとされています。
それは湿度を下げる効果です。
エアコンは空気中の水分を気化させる熱(気化熱)で室温を下げます。
この時使われた空気中の水分は、エアコンのダクトを通って
室外機から放水されるので、室内の湿気はその分低下することになります。
湿気が高い状態では体温が下がりにくいので、エアコンのもつ乾燥効果によって
室内の湿度が適度に下がり、より体内に熱がこもりにくくなるのです。
→ 熱中症と体温調節の仕組み
→ 室内熱中症対策には温度と湿度がポイント
→ 室内でも熱中症になりますか?
熱中症はとても危険な病気です。毎年何人もの死者が出るほどです。たかが熱中症だとあなどっては決していけません。大切な人の命を守る、自分自身を守る為にも熱中症に関する正しい知識を持ち、しっかりと予防・対策を行いましょう。 |