高血圧は、生活習慣病を代表する疾患です。
厚生労働省による平成20年の調査によると、
日本の高血圧患者は796万7000人にものぼります。
成人の3人に1人が、高齢者の場合は3人に2人が、
高血圧を患っているとも言われています。
高血圧になると、心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳卒中、
腎不全などのリスクがありますが、
実は熱中症にあるリスクも健康な人に比べて高いのです。
高血圧と熱中症なんて、一見無関係に見えますが、
高血圧の治療をしている人は、
減塩食にするなど塩分の摂取を控えている場合が多いのです。
熱中症と塩分だったら、関係がありますよね。
高血圧の人は、もともと塩分を控えている人が多いですが、
人間のには体内に塩分が少ないと、その低い塩分濃度に合わせようとして、
水分を体外へ排出しようとする機能があります。
つまり、高血圧の人は健康な人に比べて、体内の塩分濃度が低く、
水分も少ない傾向にあります。
このような状態の人が、高温環境下で大量に汗をかいたらどうなるでしょう?
汗には、水分一緒に塩分も含まれていますので、
もともと少ない水分と塩分が、さらに少なくなるのです。
そうするとすぐ脱水症状になり、体温が上がって熱中症になりますよね。
そのため、高血圧の人は、熱中症になりやすいのです。
また、熱中症予防には塩分の含まれたスポーツドリンクなどが効果的
なことは、皆さんよくご存知かと思います。
でも高血圧の人は、塩分を摂取することを控えようとして、
スポーツドリンクではなく、普通の水やお茶で水分補給をする人が多いのです。
塩分の含まれていない水やお茶では、体内への吸収が遅くなりますので、
より熱中症にかかるリスクが高くなってしまいます。
日本高血圧学会が提唱する高血圧患者の塩分摂取目標量は、1日6グラムです。
熱中症に効果的なスポーツドリンクの濃度は、
1リットルあたり塩分が0.1〜0.2%含まれているものです。
これは、市販のスポーツドリンクを2倍程度薄めた濃度になりますが、
1リットル中に1〜2グラムの塩が入っている計算です。
スポーツドリンクで1〜2グラム摂取しても、
3食の食事で十分調整可能ですよね。
熱中症になると、血管内の水分量が少なくなり、
血液がドロドロの状態になりますので、高血圧の人の場合、
心筋梗塞や脳梗塞のリスクがさらに高くなります。
塩分を控えることも大切ですが、熱中症にならないためにも、
塩分を計算して必要分はきちんと摂取するなど、
上手に熱中症予防をしていきましょう。
→ 熱中症に高齢者が多い理由
→ 室内でも熱中症になりますか?
→ 熱中症になりやすい体質
熱中症はとても危険な病気です。毎年何人もの死者が出るほどです。たかが熱中症だとあなどっては決していけません。大切な人の命を守る、自分自身を守る為にも熱中症に関する正しい知識を持ち、しっかりと予防・対策を行いましょう。 |