ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染して発症する病気のうち、最も注意が必要なのが子宮頸がんですので、この章では子宮頸がんの治療をメインに解説していきたいと思います。
子宮頸がんの治療には主に外科手術、放射線療法、抗がん剤による化学療法が行われます。
これらの治療法は、がんの進行具合、年齢、合併症の有無などを総合的に判断して行われることになります。
一般的にはごく初期の段階であれば子宮頸部の異常がある部分を取り除く「子宮頸部円錐切除術」が行われますが、この手術が適用される段階であれば化学療法や放射線療法は必要ないケースが殆どで、子宮も異常部のみを切除するため妊娠出産は可能です。
しかし、症状が進行すると化学療法に放射線療法、子宮切除術などが必要となり、辛い副作用も起こりますし、妊娠も諦めなければならない可能性が高まります。
これらの治療法の組み合わせは子宮頸がんの進行具合や患者さんの状態などで組み合わせが変わってきますので主治医とよく相談の上、治療方針を決定するようにしましょう。
子宮頸がんに限らず進行性がんの治療は、主治医との信頼関係と、治りたいという強い気持ちが何よりも大切です。
治療方法に納得が出来るまで疑問な点は何でも質問してコミュニケーションを取ると良いでしょう。
一方、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされるもう一つの病気である尖型コンジローマは、良性の腫瘍で無症状です。
塗り薬(ベセルナクリーム)による治療が行われますが、効果がある人は50%程度です。
感染を繰り返すウイルスであることや、既に成人の80%以上の人が感染しているという現状を考えると、積極的な治療より感染者は患部を清潔にし、直接手で触らないようにする、症状が消失した後も性交時にはコンドーム等をして性器同士の直接的な接触を避けるなどの予防策に重点を置く方が効果的だとされています。
また子宮頸がん予防のために男性も子宮頸がん予防ワクチンを受けるべきかどうかは、今現在研究者の間でも議論の対象となっています。
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