マイコプラズマ感染症の中でも特に患者数が多いのがマイコプラズマ肺炎で、この病気の年齢分布を見てみると8〜9歳がピークになります。
したがってマイコプラズマは子供がかかる病気というイメージが強いのですが、大人でもかかります。
しかもここ数年は毎年のように大人のマイコプラズマ感染症患者が確認されていて、その数が増加傾向にあると言われています。
どうしてマイコプラズマの患者数が学童に集中するのか、その詳しい原因は分かっていませんが、義務教育が開始され児童は学校に通い、集団生活を本格的に送るようになるために感染するリスクが高まるのではないかと考えられています。
しかし、これだけではマイコプラズマが児童に集中することの理由としては弱いですし、免疫がしっかりと機能している大人の方が感染率が低くなるにしても、ここ数年間の患者数増加傾向の説明としては不足気味ですね。
マイコプラズマは抗体が出来るとしばらくの期間はちゃんと抗体が機能して感染が避けられるものの、その後抗体は弱まり、再び感染が確認されるようになります。
そこにはマイコプラズマの持つ環境適応能力が今の医学よりも優れているとしか考えられない部分もあります。
実際かつてはマイコプラズマ感染症の切り札とされていたマクロライド系の抗生物質に対する耐性をもつタイプのマイコプラズマの登場によって、今後は現在マイコプラズマに効果があるとされるテトラサイクリン系の抗生剤などにも耐性を持つタイプが出現しかねないという危機感が高まっています。
細菌やウイルスが薬剤耐性を持つ背景には、患者が自己判断で薬を中止することで、体内で駆除しきれていない生き残りが急速に薬剤に対して抵抗性を持つことが原因であるいうことが知られています。
したがってマイコプラズマに感染した場合には子供だけでなく、大人も処方された薬は最後まで飲みきるということが重要です。
またマイコプラズマは飛沫感染が主な感染経路で、秋口から冬場にかけて流行する傾向がありますので、マスクの着用やうがいと手洗いの励行などで予防を心がけることが大切です。
小さいお子さんをお持ちの家庭では親子で一緒になって予防を習慣づけるという啓蒙が必要だと思われます。
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